女性ではいつもいつも問題になる尿もれ、医学用語では尿失禁といいます。
女性の3~4人に1人は経験するといわれていますが、一言で尿もれといっても、いくつかのタイプがあります。
タイプにより対処法がことなるため、簡単に説明します。
A子さん70歳。ここ2〜3年、おしっこが近くなって困っています。最近では夜中に2回は必ずおしっこに起きるようになってきました。水仕事などをすると突然おしっこに行きたくなって、間に合わずに尿もれをすることがあります。以前は、おしっこに行きたいと思っても少しは我慢できたのですが、最近では我慢できなくなっています。
このような症状がある病気を切迫性尿失禁といいます。
おしっこを溜める袋である膀胱が、不安定になっているためにこのようなことがおこります。 本当は、膀胱は広がっておしっこを溜めないといけないのに、自分の意思にかかわらず、膀胱が勝手に縮んでしまいます。 つまり、膀胱が暴走している状態といえます。また、尿意切迫感を主症状とする症候群を過活動膀胱といい、過活動膀胱で起こる尿漏れを切迫性尿失禁といいます。
膀胱は不安定になって暴走している状態なので、お薬で安定させる治療をおこないます。
抗コリン薬という、膀胱を安定させるように働くお薬がありますので、専門医に相談するとよいでしょう。
S子さん、54歳。ちょっと太り気味、これまでに大きな病気はしたことはありません。今の悩みは咳、くしゃみ、立ち上がった時の尿もれがあることです。昔から、たまにそんなことはありましたが、最近では少し頻度が増えてきて週に3~4回は尿もれがあり、パッドをつけています。
女性では、このようなタイプの尿もれで悩んでいる方が多くみられます。
尿が溜まっているときに起こります。咳、くしゃみ、大笑い、運動や急に立ち上がったときなどに「チョロッ」と、尿がもれるのが特徴です。通常は、大量にもれることはありません。
尿道を支える筋肉(骨盤底筋)がゆるんでいるため、この筋肉を強くするような治療が必要です。
残念ながら、骨盤底筋を強くするお薬はありません。
そのため、手術する方法と骨盤底筋体操を行う方法がよくおこなわれます。
最近では、体に負担の少ない手術ができるようになっており、簡単な手術で治療を希望される方が増えています
ポリプロピレンという素材で作られたテープを用いて、尿道を支えている筋肉を補強するもので、TVT手術といい、1993年にUlmsten教授、Petros教授により開発され、世界中で非常に多くおこなわれています。現在は、もう少し安全性の高いTOT手術が主流です。TOT手術は、お腹を切るようなものでなく、膣の壁を1pほど切開し、テープを入れて尿道を支えます。手術時間は15分程度で、手術の翌日か2日には退院できます。手術の有効性も高く、完全に治っしまう人と、大幅に改善する人を合わせると改善率は90%程度です。腹圧性尿失禁で困っていれば、年齢は関係ありません。30代から80代まで手術は可能です。私は、この手術を開発したオーストラリアのペトロス教授の指導をうけ、TOT手術をおこなっています。
。女性では、切迫性尿失禁は13%ほどで、腹圧性と切迫性の両方の症状がある人(混合性)は24%、腹圧性尿失禁は63%を占めます。混合性も合わせると腹圧性尿失禁は87%にもなり、もっとも多いタイプの尿失禁です。
「どのようになったら、治療した方が良いのでしょうか?」ということはよく聞かれる質問です。
この答えは、「尿もれや、おしっこの近いのがいやだなぁ、すっきり治したいなぁと、感じるようになったら」です。
目安は、1週間に数回も尿もれがあったり、頻回にトイレに行くようになったら、まずは信頼できる専門医を受診されると良いでしょう。尿もれとの別れは、、一歩を踏み出す勇気です!
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