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骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸脱)pop

骨盤臓器脱とは子宮、膀胱、直腸などの骨盤内にある臓器が膣のほうから下垂し、でてくる病気の総称です。以前は、子宮脱、膀胱脱、直腸瘤などといわれていましたが、一つだけの臓器が下垂してくることはすくないためにまとめて骨盤臓器脱と呼ぶことが多くなっています。



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下垂臓器と症状・原因

     

何が下がってくるのか

膣から下がって膣の外に出てくる臓器というとみなさん、子宮が一番多いと思っていますが、意外にも最も多いのは膀胱です。さらに意外にも直腸が下がって出てくる人もかなり多くみられます。その理由は子宮は膀胱の上に乗っかるような位置にあり、下垂はしますが、でてくるのは膀胱が多いことになります。以下の下垂して膣の外に出てくる臓器の割合を示します。



症状

比較的多いのがお風呂に入ったときにピンポン球のようなものが膣から出てきたとか、立ち仕事をしていたときに何かぬるっとしたものをふれるというようにして気がつくことが多いようです。そのほかは、股間には何かはさまっている感じがするとは、いすに座ると何かが押し込まれるような感じがあるといわれる方もいます。また膀胱がさがることでおしっこがちかい、出にくい、もれるといった症状や直腸が下がることで便が出にくいいという症状がでることがあります。

原因

まずはじめは出産により骨盤底筋がゆるむことが多いといわれています。それに肥満や便秘などの慢性的に骨盤底筋に負担がかかるような状態になると骨盤底筋がさらにゆるんできます。閉経により女性ホルモンの低下も骨盤底筋のゆるみの原因となります。

     

出産によって大きく引き伸ばされた骨盤底は、3カ月くらいかけて徐々に元に戻っていきますが、完全に元通りに戻らないこともあります。閉経する頃になり、女性ホルモンの分泌が少なくなると、骨盤底の支えの弱さが症状として出てきます。
                       
          骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸脱)


よくある質問 Q&A


骨盤臓器脱は多いのですか?

聞きなれない病気ですが、非常に多い病気です。スウェーデンの調査では出産経験者の44%に骨盤臓器脱が認められると報告されています。また米国の調査では80歳までに9人に1人が骨盤臓器脱または尿失禁で治療が必要になるといわれています。このように骨盤臓器脱はありふれた病気であるといえます。

ほおっておいたらどうなるの?

骨盤臓器脱は、ほおっておいても自然によくなることはありません。いつかは治療が必要になります。下がった臓器はもとにはもどりません。    

どうなったら受診したらいいの?

臓器が下がることで「困るなあ」「いやだなあ」「気持ち悪いなあ」と思うようになったら受診されるとよいとおもいます。この病気は生活の質にかかわる病気です。それで患者さんの自覚症状が最も重要です。しかしながら自分で出てくる臓器を触れるくらいになると自然にはよくならないので、一度専門の先生にみてもらうとよいと思います。

受診は婦人科に?泌尿器科に?

以前は子宮をとるような手術をしていましたので産婦人科でみることがほとんどでした。今は子宮をとらない手術ができるようになり、泌尿器科でも治療するようになりました。この病気は膀胱がさがったり、子宮が下がったりすることから産婦人科と泌尿器科の中間の病気です。それでウロギネセンター(泌尿器科と産婦人科の中間の病気を治療するセンター)やこの病気を専門にみている医師がいる病院で治療すればよいと思います。受診するところがわからない場合にはウロギネネットワークなどの電話相談を利用するとよいと思います。

治療について 

骨盤臓器脱の保存的療法

ペッサリーという7cmくらいのリングを膣内にいれて臓器が下がってこないようにする方法です。ただしこの方法は骨盤臓器脱を根本的に治す治療ではありません。あくまでも対症療法です。

ペッサリー

入れたままにすると、はずれなくなることがあるので、ペッサリーはだいたい3ヶ月毎の交換が必要になります。さらにペッサリーが膣の壁を傷つけて出血したり、感染をおこしたりすることがあり、長期的な骨盤臓器脱の治療としては難しいことが多いです


 

根治治療 
1.経腟TVM手術

 Prolift(プロリフト)型のTVM手術は2000年に、フランスで開発された骨盤臓器脱の新たな術式です。この手術は、そけいヘルニアの治療で一般的に使用されるポリプロピレンメッシュを用いて、骨盤臓器脱(子宮脱・膀胱脱・直腸脱)を治療します。メッシュを用いた手術のなかで最も多く行われており、有効性が高いといえます。欧米では近年広く行われるようになっておりスタンダードな治療として確立しつつあります。
 また、日本では認可されておりませんが欧米ではElevate(エレベート)という経膣メッシュキットが低侵襲な治療として高く評価されております。我々はこのエレベートと同じメッシュの形状を用いて、これまでのTVMの手術を組み合わせることで、エレベート型TVM手術を確立しております。このエレベート型TVM手術は中等度の骨盤臓器脱に対しては低侵襲な治療として有用です。

経腟メッシュ手術の特徴

・特徴再発が少ない。
・子宮を取ることなく子宮脱、膀胱脱、直腸脱を同時に治療することができる。
・膣壁を切開、剥離してメッシュを入れるだけなので、臓器を切除せず負担が少ないため、入院も短期間。
・合併症が少ない。
・健康保険適応である
TVM手術で使用する道具
そけいヘルニアの治療で一般的に使用されるポリプロピレンメッシュと主な手術器具
Prolift型のTVM手術
メッシュ手 術膀胱側 メッシュの型
Prolift型のTVM手術
メッシュ手術 直腸側 メッシュの型
Elevate型のTVM手術
     メッシュの型

根治手術
2.腹腔鏡を用いた腟仙骨固定術 (Laparoscopic sacrocolpopexy,LSC)

  腟仙骨固定術(ちつせんこつぜんめんこてい)とは、子宮または子宮摘出後の腟断端 を吊り上げ、仙骨前面の靱帯に固定する方法で、30年以上前から行われている骨盤臓器脱の手術方法です。この膣仙骨前面固定術は成功率の高さ、再発率の低さともに非常に優れた術式であるということはよく知られています。これまでは膣仙骨固定術は開腹手術として行われてきたために、やや体の負担が多いという問題点がありました。しかし、近年この問題点を解決する方法として、体の負担が少ない腹腔鏡手術で行うという術式が確立し、欧米を中心に非常に普及てきました。腹腔鏡手術というのはお腹にカメラと鉗子をいれるための小さな穴をあけるだけで行う手術のことです。
 亀田総合病院と北九州総合病院も、この分野の第一人者であるフランスのArnold Wattiez先生の術式に従い、腹腔鏡を用いた腟仙骨固定術手術を確立しました。日本ではまだ多くの施設で行うことができませんが、専門医もとでは非常に有効な治療となります。
この手術も補強にはTVM手術で用いられているメッシュを使用します。つまりTVM手術と同じ手技を腹腔内から行うという術式です。この手術の利点は膣をさわらないので性交渉に対して影響がほとんどないということ、痛みが非常に少なく出血が極めて少ないこと、また再発が極めて少ないことがあげられます。この手術は腹腔鏡で行うため非常に精密な治療が可能なものの、やや時間がかかる(約4時間)という欠点はあります。腹腔鏡を用いた腟仙骨固定術は、どのようなタイプの骨盤臓器脱にも対応可能であり、TVM手術の再発症例などにも可能です。また股関節の病気があり、脚が拡げにくい方にも対応できます。腹腔鏡を用いた膣仙骨前面固定術が適している方、またはTVM手術が適している方がいますので、亀田総合病院、北九州総合病院ウロギネコロジーセンターの専門医へご相談ください。
 世界でもっとも標準化されているといわれるフランスのA.Wattiezの術式に基づいて腹腔鏡下仙骨前面固定術を確立。北九州総合病院の新井医師とともに、西日本ではもっとも早く腹腔鏡を用いたメッシュ手術を導入しました。

腹腔鏡を用いた腟仙骨固定術 (Laparoscopic sacrocolpopexy,LSC)治療の特徴

<利点>
・膣をさわらないので性交渉に対して影響がほとんどない
・痛みが非常に少なく出血が極めて少ない
・再発が極めて少ない
・股関節に病気があり、開脚制限があっても対応可能
<欠点>
・手術時間がやや長い(約4時間)





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メディア掲載情報

 
 病院の実力51歳から気になる病気
 
 2015年
 読売新聞「くらしピックアップ」   「女性の尿漏れ 体操で改善」       
 2014年
 読売新聞「すこやかカフェ」
 「骨盤臓器脱 手術で解消」
 読売新聞
 「腹腔鏡手術」
 東京新聞
 尿もれの鍵「骨盤底筋」を鍛える!
 リビング福岡・北九州 1
 リビング福岡・北九州 2
 2012年
 TBSラジオ「明日も元気」出演
 「からだにいいこと」掲載

 
 新 「名医」の最新治療 2011
 ウロギネ専門医として紹介

 2011年 各社新聞
 「医療新世紀」
 「患者を生きる」全6回
 2010年 
 毎日新聞     
 日経ヘルスプルミエ
 「尿漏れ頻尿の原因は」     
 レタスクラブ
 「Women’s Clinic POP」
 2009年 
 毎日新聞
 「骨盤臓器脱」
 西日本新聞
 「尿の悩みが消えると」     
 読売新聞
 「POP悩む女性」
 2008年 
 毎日新聞     
 西日本新聞
 「尿漏れ防げ骨盤底筋体操」 
 2007年
 Donna mamma 8月号
 「気になるママの症状 尿もれ」
 楽生人
 「女性の泌尿器トラブル」
 読売新聞 医療ルネサンス
 「骨盤内臓器脱にメッシュ手術」
 毎日新聞 患者塾
 「POP 負担軽いメッシュ治療法
 西日本新聞
 「中高年女性の骨盤臓器脱」